ITIL シラパス2011の基本とは
ITILとは?
Information Technology Infrastructure Library(ITIL)は、ITIサービスマネジメントのベストプラクティス(成功事例)を体系的に整理した手引書を指す。
ITILの前回バージョンv2と今回の大きな違いは、プロセス個々に着目して解説されていたのに比べ、サービスのライフサイクルに着目して解説している点となる。
サービス・ライフサイクル(Service life cycle)
サービス・ライフサイクルは、その名の通り、サービスが市場に生まれて、廃棄されるまでの流れを表すものであり、ITILでは以下と定義されている。
- サービスストラレジ(戦略)
- サービスデザイン(設計)
- サービストランジション(移行)
- サービスオペレーション(運用)
- 継続的サービス改善(改善)
ITサービスを供給している組織「サービスプロバイダ」が、顧客が期待する価値を提供する能力を「サービスマネジメント」と呼ぶ。
サービスストラテジ(Service Strategy)
事業の目標に準じた、ITの要件と役割を定義する。ビジネスの観点で、プロバイダの方針やサービスの位置づけを明確にするステージである。
サービスは一般的に「人」「物」「情報」が「顧客にとって価値ある活動」をしているものを指すため、ITだけで成り立っている訳ではない。
サービスがどのような顧客に、いくらで、どのような価値を提供するのか。そのために必要なものはなにか、必要なものを提供するのに、いくら掛かるのか。また、どのくらいの時間が掛かるのか、など。
ITを通じてビジネスに必要な戦略的な手引きを提供することを指すものである。
サービスデザイン(Service Design)
サービスストラテジで定義した方針に従って、サービスの仕様や導入計画を作成するステージである。
サービス設計で必要なことは、あらゆる観点からサービスを捉えて、そのすべてを考慮することだ。
例えば、本をECサイトの場合。商品となる本はどこから仕入れるのか。仕入れた本はどうサイトにアップするのか、そのサイトで購入したものはどう顧客へ配送されるのか、などぱっと考えるだけでも多くのオペレーションが思い浮かぶ。
そのオペレーションをどこからどこまで人の手で行うのか、ITで行うのか、ITの場合、どう維持するのか、維持するのに必要なものは何か、など明確に設計することを指すものである。
サービストランジション(Service Transition)
サービスデザインで定義された内容に従い、移行(サービスの新規導入や変更)を実施するステージである。
サービスデザインで設計された、すべて(商品、IT、プロセス、人など)を用意し、
それが期待通りに機能することを検証し、課題があれば修正するものである。
サービスオペレーション(Service Operation)
サービストランジションで移行されたサービスを供給し、顧客へ価値を提供するステージである。
継続的に顧客の期待以上のサービスを効率よく提供することだけではなく、期待に添えない状況が発生した場合にできるだけ早く期待以上の水準に復旧させることも含む、
ITサービスを提供するために日常的になされるすべての活動を指すものである。
継続的サービス改善(Continual Service Improvement)
供給されたITサービスに対して、PDCAサイクルを継続的に回し、改善していくステージである。
ITサービスを日々供給していく中で発見された改善点に対して、目標を計画し、その計画に対して対策を実施し、実施された結果を分析し、より良い結果を得る為に必要な処置を行う一連の活動を継続的に行うことを指すものである。